研究課題
大腸がんは、本邦のがん罹患の第1位、がん死の第2位を占める。特に遠隔転移を伴う大腸癌の予後は悪く、治療成績の改善は喫緊の課題である。近年注目される癌免疫療法は複数の癌腫において有効性が確認されているが、大腸癌においてはごく一部の症例のみでしか奏功せず、治療抵抗性メカニズムの解明、および新規治療ストラテジーの樹立が強く期待されている。一方、癌幹細胞は、癌の発生・維持に加えて浸潤や転移など発癌の各ステップで重要な役割を果たすとされている。本研究では、大腸癌幹細胞に高発現し、免疫原性を調節する因子の同定と、同分子の阻害が癌に及ぼす効果について検討した。研究者らは、ApcMin/+マウスを用いた解析から、免疫原性を負に調節するCD47が大腸癌幹細胞分画で高発現することを見出している。本年度はCD47の癌幹細胞での役割を検討するため、CD47f/fマウスを入手し(神戸大学 的崎教授より提供)、Lgr5-EGFP-IRES-creERT2;Ctnnb1lox(ex3)/+マウスと交配し、Lgr5-EGFP-IRES-creERT2;Ctnnb1lox(ex3)/+;CD47f/fマウスを作出した。同モデルでは、タモキシフェン投与により、Lgr5-EGFP陽性癌幹細胞特異的にWnt/bカテニンシグナルを活性化させて腫瘍新生をきたすと同時に同細胞でCD47をKOすることが可能である。Lgr5-EGFP-IRES-creERT2;Ctnnb1lox(ex3)/+マウスとLgr5-EGFP-IRES-creERT2;Ctnnb1lox(ex3)/+;CD47f/fマウスを比較することで、CD47 KOにより腫瘍数の減少が確認された。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (5件)
eLife
巻: 10 ページ: in press
10.7554/eLife.55117
Developmental Cell
巻: 56 ページ: 95~110.e10
10.1016/j.devcel.2020.10.014
Digestive Endoscopy
巻: 33 ページ: 190~194
10.1111/den.13723
Cancer Cell
巻: 38 ページ: 247~262.e11
10.1016/j.ccell.2020.05.018