大腸がんは、本邦のがん罹患の第1位、がん死の第2位を占める。近年注目される癌免疫療法は複数の癌腫において有効性が確認されているが、大腸癌においてはごく一部の症例のみでしか奏功せず、治療抵抗性メカニズムの解明、および新規治療ストラテジーの樹立が強く期待されている。一方、癌幹細胞は、癌の発生・維持に加えて浸潤や転移などで重要な役割を果たすとされている。本研究では、大腸癌幹細胞に高発現し、免疫原性を調節する因子の同定と、同分子の阻害が癌に及ぼす効果について検討した。それにより、ヒト大腸癌に対する、癌幹細胞を標的とした新規癌免疫療法の開発に向けた基礎的知見を得ることができた。
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