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2019 年度 実施状況報告書

ビックデータ解析を応用した乳腺化生癌に対する新規治療標的分子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 19K16715
研究機関愛媛大学

研究代表者

山下 美智子  愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (10809247)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード乳癌 / トリプルネガティブ乳癌 / 化生癌 / バイオインフォマティクス
研究実績の概要

一般型の乳癌においては遺伝子発現プロファイルに基づくサブタイプ分類による個別化治療が確立され、治療成績が向上している。しかしながら、特殊型乳癌の一つである化生癌では、有効な治療法がなく、その恩恵が全く得られていない。
これまでに我々は乳腺化生癌の中でも軟骨化生を伴う化生癌の遺伝子発現プロファイルに着目し、ビックデータを用いた解析から新規治療標的分子となる58候補遺伝子を同定した。本研究ではこれらの候補遺伝子から標的遺伝子を絞り込むため、予後因子解析及び乳癌組織における遺伝子発現解析を行った。
58候補遺伝子について、Kaplan-Meier Plotter(KMP)を用いて無増悪生存期間に有意差がある遺伝子を同定した。次に、当科でバンキングしている6検体の乳癌患者サンプルを用いてreal time RT-PCRにて、正常乳腺と乳癌部分での発現を確認した。また、Cell Minerを用いて、癌細胞株における発現について解析を行った。
KMPにより、58候補遺伝子のうち25遺伝子でトリプルネガティブ乳癌もしくはbasal typeで無増悪生存期間に有意差を認めた。25遺伝子の中から、すでに乳癌の予後との関連の報告がある6遺伝子を除いた19遺伝子、間葉系組織での発現が知られている4伝子、他癌で予後因子として報告のある6遺伝子を加えた計29 遺伝子についてreal time RT-PCRを行なった。その結果、CDH2、Calcyphosine(CAPS)、Butyrophilin subfamily 3 member A2(BTN3A2)の発現が正常乳腺に比べ乳癌部分で有意に高く(p<0.05)、HLA-AとSOX8の発現は高い傾向が見られた(p<0.07)。細胞株においては他癌の細胞株に比べ乳癌細胞株で有意に発現が低いものが10遺伝子あり、SOX8もこの中に含まれていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予後関連解析では比較的多くの遺伝子が予後との関連を示したが、乳癌組織を用いたバリデーションでは乳癌組織では発現が非常に低いものや乳癌細胞株では他癌に比べ発現が有意に低いものも見られた。これらの研究結果から、機能解析を行う遺伝子の絞り込みには更なる乳癌患者サンプルが必要であることが明らかになった。そのため、使用するヒト乳癌組織の収集期間を約半年間延長することとした。研究実施計画に大きな変更はない。

今後の研究の推進方策

今後は、乳癌患者サンプルを増やして遺伝子発現解析を行い、すでに施行した予後関連解析や細胞株でのin vitro解析結果を統合し最終的な候補遺伝子の絞り込みを行う。
その後、新規治療標的分子の同定に向けた乳癌病態における機能解析を実施計画に基づいて行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

使用するヒト乳癌組織の収集期間を約半年間延長したことにより、消耗品の購入額が予定よりも減少した。次年度は、次年度使用予定額と翌年度分として請求した助成金を合わせて使用し、研究実施計画に基づき研究を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ビックデータ解析を応用した乳腺化生癌に対する新規治療標的分子の同定2019

    • 著者名/発表者名
      山下 美智子、山澤 令菜、日下部 恵梨菜、青木 玲奈、小松 紗綾、田口 加奈、西山 加那子、村上 朱里、杉森 和加奈、今井 祐記、 亀井 義明
    • 学会等名
      第27回日本乳癌学会学術総会

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公開日: 2021-01-27  

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