研究課題/領域番号 |
19K16739
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
武田 真 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (50839157)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NAFLD / HCC / S1PR2 / S1P |
研究実績の概要 |
ヒト肝細胞癌株3種(HLE、HepG2、HuH7)におけるS1PR1・2・3(S1PRs)までの発現をPCRで確認した。S1PR2の発現は3種ともに同程度であった。 S1P添加実験を行うにあたり、S1Pの毒性を確認し、適当なS1P濃度を決定した。S1P添加によりHLEで有意に細胞増殖の増加を認めたが、HepG2、HuH7では細胞増殖の増加を認めなかった。S1P-S1PRs pathwayが細胞増殖に寄与する可能性が示された。 S1PR2の阻害剤であるJTE013を用いた実験をおこなった。JTE013の毒性を確認し適当な濃度を決定した。その後、HLE細胞のS1P添加による細胞増殖の増加がJTE013添加により抑制されたことを確認した。S1Pの刺激がS1PR2に特異的に作用することを確認するため、S1PR1・R3の阻害剤であるFTY720を用いた実験をおこなった。JTE013と同様にFTY720の毒性を確認し適当な濃度を決定した。HLE細胞のS1P添加による細胞増殖の増加はFTY720添加では抑制されないことを確認した。S1P-S1PRs pathwayの中でもS1P-S1PR2 pathwayが細胞増殖に関与していることが示された。 次にHLE細胞にオレイン酸(OA)添加した時のS1P合成の確認のため、オレイン酸とS1PR2の阻害剤であるJTE013添加実験を行っている。細胞増殖について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科研費申請時点での研究計画書では令和元年度(初年度)に ヒト肝細胞癌株を用いた増殖機構の検討として(1)S1P添加時のリン酸化Erk,リン酸化Aktの評価をWestern blot法で確認する。同条件でS1PR2のantagonist JTE013、S1PR2-siRNAによりErk・Aktのリン酸化(活性化)や増殖能の変化を確認する。また、他のS1PR familyの発現(S1PR1とS1PR3)を確認し、S1PR1・R3のantagonistであるFTY720添加後の増殖能の変化も確認する(S1PR2依存性の確認)。 (2)オレイン酸添加によるS1P合成亢進の確認:オレイン酸(OA)添加によるOA添加時の培養液中のS1Pの変化をELISA法により確認する。となっていた。 S1P、JTE013、FTY720の濃度調整、培養時間の設定に時間を要したため、全体的に実験がやや遅れいる。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト肝細胞癌株を用いた実験でS1P、JTE013、FTY720の濃度調整、培養時間の設定に時間を要したため、全体的に実験がやや遅れいるが、S1P添加による増殖能の亢進、JTE013添加での増殖能の抑制は確認できており、計画の変更はなく、当初予定していた実験を順次行っていく。
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