成人T細胞白血病 (ATL) は、ヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV-1) の感染により発症する難治性のT細胞悪性腫瘍である。本研究ではATL症例細胞のクロマチン構造を詳細に解析することで、HTLV-1感染細胞がATLを発症するメカニズムの解明を目指した。課題遂行のためには健常細胞との比較解析が必須であり、まずサンプル間の比較解析の手法を開発した。またその手法をATL細胞の解析に用いるとATLはT細胞白血病であるにも関わらず、骨髄球細胞に類似したクロマチン構造を有する症例があることが明らかとなり、「骨髄球系細胞に近い形質を有するT細胞白血病細胞」の存在の可能性が示唆された。
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