研究課題/領域番号 |
19K16748
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平松 宏祐 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10650591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / LSR |
研究実績の概要 |
① LSRの活性化条件とリガンドの同定 LSR陽性卵巣癌細胞株 (RMG-I) を低栄養 (FBS free) や低酸素 (塩化コバルト投与) の条件下で培養するとLSRが高発現することをウエスタンブロット法で確認した。さらに、これらの条件下では脂肪酸の取り込みとそれに続く増殖/生存は脂肪酸の濃度依存性に促進されるが、LSR siRNAを用いて作成したLSR knock down細胞ではこの効果は減弱した。このことからLSRは低栄養や低酸素といった限られた微小環境下で癌細胞の増殖/生存に寄与することが証明された。 ③腹膜播種におけるLSRと脂質の役割 大阪大学で手術時に得られた大網組織を培養液に浸透させ、大網組織の脂質分子が溶解した培養液を作成した。これをLSR陽性細胞およびLSR knock down細胞に投与し予備実験で遊走能を評価した。その結果、LSR陽性細胞では増殖/生存及び遊走が亢進しLSR knock down細胞では減弱することからLSRは大網由来の脂質を取り込み細胞の増殖能・遊走能を高めることを見出した。これは臨床的に卵巣癌が大網転移しやすいことを裏付ける結果である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脂質分子投与時の増殖・遊走能の変化が安定しないため、実験系の安定化と再現性の確保が必要であるため。
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今後の研究の推進方策 |
① LSRの活性化条件とリガンドの同定 低栄養状態ではGLUT1、低酸素状態ではHIF-1α等のタンパクがLSRの発現に関与している可能性があり、関連するタンパクの発現をウエスタンブロット法で評価する ② LSRを介した脂肪の蓄積と脂質代謝の活性化 LSRが脂質の取り込みに関わることは証明されているが、その後の細胞増殖促進効果、脂質合成との関連は評価できていないため、脂質分子投与後の増殖能の変化を評価するためにウエスタンブロット法で増殖に関わる系 (PI3K/Akt/mTOR、MAPK、JAK/STAT等) に関連するタンパクの発現変化を評価する。また脂質合成に関わる代表的な酵素であるfatty acid synthaseの阻害薬を用いてLSRの下流の探索を行う。 ③ 腹膜播種におけるLSRと脂質の役割 予備実験では大網の脂肪分子がLSR陽性細胞の増殖/生存・遊走能を高めることが示唆されたため今後はその検証を行う。脂質分子の構成により効果が変化する可能性があるため複数の臨床検体を用いて検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度も引き続き物品購入を行う予定であるため、少額の残高は使い切らず繰り越しとした。
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