研究課題
本年度は、症例収集については、成人のRARA陰性APLは10例程度収集できることがわかっており、研究計画が承認され二次調査を行っているところである。RARB転座陽性APLの治療薬の検討及び病態の解明については、既存のATRA、Am80といったAPL治療の中心的な薬剤が効果がなく、またレチノイン酸経路にかかわる複数の薬剤が耐性であることがわかったため、TBL1XR1-RARB及びコントロールとしてPML-RARAを導入した臍帯血を用いてRNAシークエンスとそれに伴うpathway解析、GSEA解析を行い、治療標的となりうる候補遺伝子の同定をおこなった。その結果、遺伝子Xが候補としてあがった。この遺伝子Xについては、ligand薬がすでに実臨床に用いられていることから、この遺伝子Xに対するリガンド薬の効果をin vitroモデルを用いてLuciferase assay法及び2共免疫沈降法を用いてその効果を検証した。検証の結果、限定的ではあるものの有効である可能性が示唆された。本研究及び臨床情報からは、RARA陽性APLとは明らかに異なる病型や治療反応を示す一群であることが示唆された。臨床情報からは、治療後再発が多く造血幹細胞移植で治癒している症例が多いことから、第一寛解期などでの造血幹細胞移植が現時点では治癒に導くことができる手段と考えられた。実際に、新規小児AMLの臨床試験では、RARB転座陽性のAMLを高リスク因子として予後層別化に導入できた。今後、さらに検討をすすめ、RARA陰性APLのように分化誘導療法が可能か検討をすすめていきたいと考えている。
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Blood Advances
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