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2019 年度 実施状況報告書

ミトコンドリア内葉酸代謝酵素を阻害したときのがん微小環境変化の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K16768
研究機関金沢大学

研究代表者

西村 建徳  金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10624869)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード葉酸代謝 / ミトコンドリア
研究実績の概要

本研究はマウス乳がんモデルを用い、乳がんでのミトコンドリア内葉酸代謝酵methylenetetrahydrofolate dehydrogenase (NADP+ dependent) 2, methenyltetrahydrofolate cyclohydrolase (Mthfd2)の役割を明らかにすることを目的とする。Mthfd2ノックアウトマウスは胎生致死であるため、本研究ではコンディショナルノックアウトマウスの系を用いることにした。Mthfd2がepidermal growth factor (EGF)シグナルによって誘導されることから、本研究では乳腺上皮細胞特異的にEGF受容体ファミリーの一つであるヒトHER2のラットオルソログneuを過剰発現するMouse mammary tumor virus (MMTV)-neuマウスを用いることとした。本年はまずMthfd2-floxマウスとMMTV-neuマウス、そして、Mthfd2-floxマウスとMMTV-Creマウスの掛け合わせを行った。
Mthfd2-floxマウスとMMTV-neuマウスではMthfd2は野生型なので、交配、仔の出産、育児、発育、そして発がん等、特にMMTV-neuマウスと異なる点は見られなかった。Mthfd2-floxマウスとMMTV-Creに関しても現在までは特に問題は見られていないが、今後、観察個体数を増やす、飼育期間を延長することで異常が見られることは否定できない。
MMTV-neuマウスにできるがんにおけるMthfd2の発現を免疫組織染色によって確認したところ、腫瘍の大きさによって発現する細胞の数や発現強度に差があることが示唆された。このことから発がん前の乳腺組織、発がん後の乳腺組織、転移巣で乳性組織ではMthfd2への依存度が異なる可能性があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

異なる遺伝子組み換えマウス同士の交配が同種類同士の交配よりもうまくいかず、仔の数が予定よりも少ない数しか得られなかったため、進捗状況はやや遅れている。しかし、少しずつ仔の数が増え、現在は予定通りの交配が行えている。
免疫組織染色ではMthfd2を始め、いくつかのマーカ―分子の染色が可能であることを確認したので、目的のgenotypeのマウスが得られ次第、すぐに実験を行える状況を整えられた。
腫瘍の構成因子を明らかにするため、FACSを用いるが、腫瘍組織からの単細胞分離からFACSでの分離、解析、そして培養までの系を立ち上げ、軌道に乗せることができた。今年度から実際に解析を進めていきたい。

今後の研究の推進方策

乳がんマウスモデルを用い、自然にできる腫瘍に近い状態においてMthfd2の機能を阻害した時、がん細胞と間質細胞の相互作用がどうのように変化するのか、そして形成される腫瘍の性質がどのように変化するのか、という二点について明らかにする。
Mthfd2ノックアウトによるマクロな変化は免疫組織染色、FACSを用いて明らかにし、細胞内のミクロな変化についてはqRT-PCR、ウエスタンブロット法を用いて明らかにする。観察する場所は原発巣と本研究で用いるMMTV-neuマウスで確認されている転移巣の一つである肺の二か所とする。
これらの結果を総合し、乳がんにおけるMthfd2の役割ならびにMthfd2を阻害した時に期待できる効果について、免疫機能を含めたin vivoの系を用いて明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本年度はマウスの交配が予定通りに進まず、計画と比して実際の進行はやや遅れいるため、使用額が少なかった。現在、マウスの数は増えているので、これから当初予定していた実験を少し速いスピードでこなしていく予定である。予備実験と系の確立は本年度内にできたので、計画していた実験をできると考えている。

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公開日: 2021-01-27  

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