乳癌肝転移巣におけるがん免疫療法の効果は限定的であることが問題点として挙げられる。これまで我々はSyngeneicマウス乳癌、大腸癌、膵臓癌モデルにおいて、腫瘍免疫微小環境をリプログラミングすることにより免疫チェックポイント阻害薬を含むがん免疫療法が増強されることを確認してきた。乳癌患者において予後に強く関連する肝転移の制御は不可欠であると考え、マウスを用いた乳癌肝転移モデル並びにヒト臨床サンプルを利用し、乳癌肝転移巣の腫瘍免疫微小環境における解析を行った。肝転移巣に関しては、原発巣並びに肺転移モデルと比べ、治療効果が乏しい事を確認した。さらに肝転移巣における網羅的遺伝子発現パターンを解析したところ、補体経路を代表とする特徴的な免疫・代謝経路と関わる事が示唆された。以上より、肝転移巣特異的な腫瘍免疫微小環境リプログラミングを行うことにより、乳癌肝転移の制御が可能であることが示唆された。
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