研究課題/領域番号 |
19K16774
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
二井 偉暢 九州大学, 医学研究院, 助教 (10743990)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / ヒトiPS細胞 / 骨髄微小環境 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
これまでがん治療薬開発の非臨床試験において、がん細胞株を移植したがんモデルマウスが使用されてきたが、実際にがん患者で行われる臨床試験でその治療効果が再現できないことが多く、これが研究開発の費用と期間の増長をもたらすため大きな問題となっている。この解決策として、がん患者由来細胞を用いたPatient Derived Xenograft(PDX)マウスが注目されている。PDXマウスを用いた研究では非臨床試験と臨床試験データの一致率が高いことがわかっており、研究開発の効率化が期待されている。しかし、急性骨髄性白血病(AML)では、PDXマウスの作製効率が0-50%であり、未だ PDXマウスの作製困難なAML患者細胞が多く存在することが問題となっている。その原因としてはAML細胞の生着する骨髓微小環境がヒトとマウスで異なることが考えられ、マウス体内でヒト骨髓微小環境を再現する技術が求められる。本研究では、ヒト骨髄微小環境を再現したAML-PDXマウスの作製方法を開発することを目的とする。申請者はこれまで、骨髄微小環境を構成している細胞をヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製することに成功している。本研究ではこれらiPS細胞由来の細胞を免疫不全マウス皮下に移植し、ヒト骨髄微小環境を作製することでこれまで困難であった高効率で研究の再現性の高いAML-PDXマウスの作製を行う。 初年度に免疫不全マウス皮下にヒトiPS細胞由来骨髄構成細胞を移植することで異所性ヒト骨髄の作製に成功した。本年度作製した異所性ヒト骨髄の臍帯血由来造血幹細胞の生着能の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は作製した異所性ヒト骨髄の臍帯血由来造血幹細胞の生着能とAML患者由来AML幹細胞の生着能の解析を予定していた。しかし、新型コロナウイルスの蔓延によって提携病院からの臍帯血およびAML患者細胞の入手が困難となったことから生着能の解析に遅れがでている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き異所性ヒト骨髄への臍帯血由来造血幹細胞とAML患者細胞の移植を行い、生着能の解析を行う。さらにAML-PDXマウスの非臨床試験への有効性の評価を予定しており、本研究に必要な臍帯血、AML患者細胞、及び候補となる治療薬の入手を協力機関との連携を強化し、進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延によって本研究に必要とされるサンプルが入手できなかったため、翌年度分として請求した。 翌年度分として請求した助成金はサンプルの処理、培養に必要とする試薬の購入及びマウス維持費に使用する予定。
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