研究課題/領域番号 |
19K16777
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
辻 賢太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (00835712)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | KLF5 / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
切除不能な進行大腸癌の予後は不良であり、高い有効性と安全性を持つ新規薬剤の開発が望まれる。KLFファミリーは個体発生や心血管疾患、癌などの多彩な病態に関与する転写因子群である。その一つであるKLF5は腸上皮の陰窩底部優位に発現しており、正常腸上皮幹細胞の維持・増殖に加え、Wntシグナル系のメディエーターとして腸上皮幹細胞からの腫瘍形成にも重要な役割を持つ。変異活性型β-Catenin誘導による大腸癌モデルマウスの腸上皮幹細胞でKLF5をノックアウトすると腫瘍形成が抑制されることも既に見出されており、KLF5は進行大腸癌の新たな治療標的として期待される。 しかし、生体内におけるKLF5の蛋白間相互作用の全体像は十分に解明されていない。本研究では、FLAG/HAダブルタグ融合KLF5蛋白を恒常的に発現する遺伝子改変マウスを用いて、正常腸組織と腫瘍組織それぞれにおけるKLF5蛋白複合体解析を行う。本年度までにCreERT2-loxPシステムにより腸上皮選択的に変異活性型β-Cateninを誘導する腫瘍形成マウスとFLAG/HA-KLF5ノックインマウスとを交配させたマウスを作出し、腸組織からのKLF5蛋白複合体精製を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
FLAG/HAダブルタグで標識したKLF5を発現するマウス腸腫瘍組織を試料としてKLF5蛋白複合体精製を行ったが、十分な収量を得られず、実験系の再構築を必要としたため計画に遅延を生じた。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍組織試料を用いた蛋白複合体精製系の再構築を行い、質量分析によるKLF5結合蛋白の網羅的解析を行う。このデータを既に得られている正常腸組織でのデータと比較し、腫瘍組織に特異的なKLF5蛋白相互作用を同定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出予定していた物品費やその他の経費を別の財源で賄うことができたため、当該年度使用経費に余剰が生じた。余剰分は主として蛋白複合体精製および蛋白間相互作用の検出に必要な試薬類の購入、質量分析、データ解析等に使用する予定である。
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