特定の蛋白を精製するために一般に用いられる免疫沈降法では、目的とする蛋白以外の分子が反応に用いる抗体に非特異的に結合することが精製物の純度を下げる原因となる。特に、多彩な細胞や細胞外基質からなる生体組織に由来する蛋白粗抽出液は、とりわけ夾雑物の多さが蛋白精製の阻害要因となっていた。本研究で作製した大腸癌モデルマウスでは、精製の際の目印となるタグ蛋白がKLF5蛋白に2種類付加されている。このマウスの組織から蛋白を抽出し、各タグ蛋白に結合する2種類の抗体を用いた免疫沈降法を順次行うことで、より高い純度でのKLF5蛋白複合体精製が可能になることが期待される。
|