研究課題
われわれの研究成果としては,EGFRがTN(Triple Negative)乳がんでメチル化の有無をTN乳癌細胞株を3つのサブグループにわけて調査した.Basalタイプ(HCC38、HCC1937,MDA-MB-468),Mesenchymalタイプ(BT-549,Hs-578、MDA-MB-436,MDA-MB-231)Luminal ARタイプ(MDA-MB-453),またコントロールとして、ER陽性乳癌細胞株(MCF-7およびT47D)についてR198 / 200でメチル化されたEGFRに対する特異抗体を使用しウエスタンブロット分析をおこなった.その結果,EGFRの発現はMDA-MB-453を除くすべての細胞で発現が認め,PMRT1はすべての乳癌細胞株で認められた.メチル化されたEGFRはMDA-MB-468のみに検出された.さらに我々はMDA-MB-468においてPRMT1のノッツクダウン細胞MDA-MB-468 shPRMT1細胞を作成した.EGFRメチル化はPRMT1ノックダウン細胞で大幅に減少し,EGFRのリン酸化と,下流のAKT,ERK,およびSTAT3のEGF誘導リン酸化が,対照細胞と比較してPRMT1ノックダウン細胞で減少していることが判明した.さらにPRMT1ノックダウン細胞については,Cell proliferation assay,Cancer sphere formation assay,Colony formation assayを行い,PRMT1が細胞増殖に関与することを確認した.今回の研究の大きな目的でもある癌細胞のEGFRのメチル化状況が治療効果の効果予測因子である可能性について研究継続を進めている状況である.
3: やや遅れている
遅れている.臨床業務が多忙を極めていること.In vitroの実験が臨床業務終了後となることより研究時間が限られていることが主な要因である.抗EGFR抗体にリンカーで抗腫瘍薬を結合させたADCであるDepatuxizumab Mafodotin(ABT-414)の調達が困難であること,matuzumab(EMD 72000)等の他の薬剤も検討しているが臨床試験が終了し同様に難航中である.
本研究の目的である,抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)の効果がEGFRのメチル化によって抗体部の親和性の違いに注目することで治療予測因子としての可能性についても検索を進めていく.EGFRのメチル化に係るアルギニンメチル基転移酵素(RMT1)阻害剤は癌治療におけるエピジェネティク治療の応用として非常に注目されており,EGFRメチル化を制御することで,ADCのEGFRに対する親和性を高めることにより,PRMT1阻害剤が魅力的な治療的戦略になる可能性についても検索をすすめていく.また人体サンプルを使った免疫組織学的検査によりTNBCにおけるEGFRのメチル化の状況を明らかにすることで臨床応用時の治療対象群を試算しているところである.
COVID19の影響により,国際学会の旅費がないこと.またADCの納入ができていない.
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