研究実績の概要 |
EGFR遺伝子変異陽性の肺癌細胞株であるPC9(Exon 19 deletion)、HCC827(Exon 19 deletion)、H3255(Exon 21 L858R)の3株において、CRISPR/Cas9を用いてTP53遺伝子とRB1遺伝子のノックアウト株を作成し、これらに対して薬剤慢性曝露によってEGFR-TKI(エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ)耐性株を計15株樹立した。これらEGFR-TKI耐性株について神経内分泌マーカー(Synaptophysin, Chromogranin, NCAM1)の発現を免疫染色とqPCRで検証し、小細胞肺癌転換の有無を検討した。TP53/RB1ノックアウト株では神経内分泌マーカーの発現に認められなかった。EGFR-TKI耐性株のうち、アファチニブ耐性、オシメルチニブ耐性を獲得したPC9クローンでNCAM1の発現の上昇を認めた。その他のEGFR-TKI耐性株では形態変化や神経内分泌マーカーの明らかな上昇は認めなかった。正常気管支上皮細胞株に遺伝子操作を加えて神経内分泌細胞に転化させた既報においては(Park JW, et al. Science 2018)、in vivo (異種移植)による腫瘍形成後に、組織形態ならびに神経内分泌細胞マーカー発現の変化が検証されていたため、本研究においてもヌードマウスに親株・TP53/RB1 ダブルノックアウト株・EGFR-TKI耐性株、計14株を異種移植し、生着・増大したxenograft 14株(コントロールを含む)を切除し、FFPE作成・核酸抽出を行なった。現在これらxenograftの神経内分泌マーカーを検証中である。
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