研究課題/領域番号 |
19K16796
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
與語 直之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70817874)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Immunoassay / Immuno-wall / Microchannel / Precision Medicine / EGFR mutation |
研究実績の概要 |
準備段階において、既に開発したマイクロ免疫診断チップを用いて肺癌細胞株由来検体及び既存の肺癌患者由来臨床検体における上皮成長因子受容体(EGFR)common mutation(Exon19 E746_A750del及びExon21 L858R)・野生型の検討は行っている。しかし、他にEGFR uncommon mutationとして、exon18 G719X、exon20 insertion、exon20 S768I、exon21 L861Q等があり、それぞれにおいて第一世代(ゲフィチニブ・エルロチニブ)、第二世代(アファチニブ)、第三世代(オシメルチニブ)EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に対する奏効割合が異なるという報告がなされている。そこで、既存臨床検体におけるEGFR uncommon mutation検出に関する検討を追加し、EGFR common mutation検出に関する結果と合わせて論文投稿を行った。現在査読中である。 また、臨床試験を継続し、引き続き順調に肺癌患者より臨床検体の収集を行っている(名古屋大学医学部生命倫理委員会承認番号:2014-0171)。 感度向上については、Enzyme linked immuno sorbent assay(ELISA)で用いられている酵素・基質反応の応用を検討した結果、高いバックグラウンドが生じる原因として洗浄工程に問題があると考えられたため、洗浄液に用いる界面活性剤の種類・濃度を検証し最適化することで、従来の蛍光標識抗体を用いるアッセイ法の検出限界からおよそ100万倍の感度向上を達成することが可能となり、特許出願するに至った(特願2019-134763)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGFR mutationについては、更に深く(uncommon mutationまで)検討することができた。 また、性能評価で用いるべく臨床検体の収集も順調に進んでいる。 感度向上についても、酵素・基質反応の応用によるおよそ100万倍の向上を達成することができ、より低濃度のタンパク質を標的とすることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
既に治療薬が臨床応用されている、EGFR以外の遺伝子(ALK・ROS1・BRAF)及びPD-L1の検出法を確立すべく、まずは各肺癌細胞株由来の検体を用いて抗体・試薬等検査工程の最適化・標準化をそれぞれ行う。 また、感度向上については更に量子ドット等新たな検出技術の導入も検討し、最終的には血液中の超微量な標的タンパク質検出(Liquid Biopsy)を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
基質・酵素反応の応用で感度向上が得られたため、今年度は当初想定していた量子ドットの応用についての検討を行わなかった。これに伴い、量子ドットに関係する試薬・フィルターセット等用に計上していた設備備品費・消耗品費分を中心に翌年度へ繰り越すこととなった。 翌年度はEGFR以外の標的に対する検出系の確立、基質・酵素反応のマイクロ免疫診断システムへの組み込みを計画している。
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