研究課題/領域番号 |
19K16801
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
土岐 俊一 徳島大学, 病院, 助教 (60837194)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | FOXM1 / 肉腫 / 酸性環境 / チオストレプトン |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍組織においては酸性環境が形成され、細胞増殖、浸潤、転移などの腫瘍進展に影響することが以前より報告されている。しかし肉腫と酸性環境について述べた報告はないことから、本研究ではこの酸性環境を標的とした新たな治療法の開発を目指している。我々の研究結果より、酸性環境下肉腫において、転写因子として細胞増殖に関わる遺伝子を賦活化し、細胞浸潤、血管新生やDNA損傷・修復に関与するFOXM1の高発現が明らかとなった。 次に、siRNAを用いた肉腫細胞株のFOXM1ノックダウンを行い、RT-PCR及びウエスタンブロッティング法にて確認した。WST-8 assayにてノックダウン群での著明な増殖抑制を認め、さらに興味深いことにpH6.4の酸性環境における細胞群ではより強く抑制された。また、ノックダウン群では、酸性環境で発現が更新し細胞分裂・細胞周期や悪性化に寄与するPLK1、CENPF、CDC25B、CCNB1の有意な発現減少を認めた。 FOXM1の特異的阻害剤として入手可能であったThiostreptonによる脂肪肉腫細胞株SW872に対するin vitro抗腫瘍効果を検証した。前述と同様にFOXM1のメッセージ及びタンパクレベルでの著明な発現抑制を確認した。WST assay、migration assayにより、Thiostrepton 10μMの処理で細胞増殖、遊走能が有意に抑制されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肉腫マウスモデル作成目的にFOXM1ノックダウンstable cell lineの樹立の最適化を行なっていたが、使用した遺伝子導入SW872の増殖不良、形態の変化から、コンタミネーション等も疑い種々の検討を要した。こうした細胞トラブルのため十分に進めることができておらず、これに伴い当初の解析予定としていた実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
酸性環境とFOXM1及びこれにより制御を受ける遺伝子の直接的な関連、肉腫悪性化進展への影響をin vitroで解析する。継続してFOXM1ノックダウンstable cell line樹立の最適化を進める。樹立した後、ノックダウン/非ノックダウン細胞株を用いてin vitroで増殖能、移動能、浸潤能を検討する。更に同所性移植モデルマウスを作製する。増殖能、転移能とともに酸性環境形成能を解析する。増殖能は実際の大きさを計測、転移能は肺転移や肝転移の数の計測を検討する。担癌マウス(可能であれば肉腫転移モデルを含む)に阻害剤を用いて、腫瘍体積やin vivoイメージングを併用して転移巣数を解析予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vivo実験開始の遅延、及び学会発表機会の減少に伴い予定していたよりも出張が少なかったこと等の理由で、消耗品等物品・その他、旅費にかかる支出が減少した。次年度はstable cell lineの確立のためのベクター・トランスフェクション試薬・消耗品等の物品購入費、in vivo実験目的のマウス購入費、IVIS利用に関わる使用料、さらに論文の投稿料等に使用する予定である。
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