本研究の目的は前立腺癌IMRTにおいて,放射線治療計画におけるCTVおよびリスク臓器の形状変化を考慮した最適なPTVマージンおよびPRVマージンについて解剖学的情報と線量情報との関係性を解明し,マージンの自動決定システムを開発することである.これまでに,前立腺癌IMRTのCBCTによる位置合わせにおける観察者による不確かさの評価を行った.CBCT画像を用いたIGRTにおける位置合わせの不確かさ,さらに,観察者間のばらつきを考慮したPTVマージンについて検討した.6名の診療放射線技師による,前立腺癌IGRTにおける前立腺重心の位置合わせの不確かさを,CBCT画像上で放射線腫瘍医が抽出した前立腺輪郭と比較し,観察者間および観察者内変動をシステマティックエラーおよびランダムエラーに分類して評価した.これらの結果を,Journal of Applied Clinical Medical Physics誌において論文として報告した.観察者間によるIGRTのばらつきの影響により考慮すべきPTVマージンははAP,SI,LR方向でそれぞれ3.5,3.8,2.1 mmであった.これらのデータはIGRTにおけるPTVマージン算出のために考慮すべき要素である.また,即時適応放射線治療は,PTVマージンはさらに個々の症例に対する日々のターゲット形状に合わせて治療計画を行うことができるため,マージンサイズに影響を及ぼす即時適応放射線治療における変形レジストレーションの精度について評価し,学会発表を行った.即時適応放射線治療システムの変形レジストレーションの精度についてDice係数>0.85,MDA<1.5 mmの結果が得られた.
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