研究実績の概要 |
透析腎癌における免疫環境を明らかにする実験の過程で、透析腎癌は他腎癌とは異なる腫瘍免疫微小環境を有することが分かってきた。そこでさらに腎細胞癌における腫瘍免疫微小環境の解析を進め、特に次世代チェックポイント分子であるLAG-3, TIM-3,TIGITの発現に着目した。その結果、腎細胞癌においてLAG-3, TIM-3, TIGITは相互排他性を持って発現しておいることを蛍光多重染色をおこない見出した。この新規免疫チェックポイント分子の相互排他性から、腎細胞癌を新規免疫チェックポイント分子の発現パターンで分類可能なことを提案した。この新規分類は腎細胞癌の予後と関連することを生存解析から明らかにした。更に、非淡明細胞型腎癌や転移臓器においてもこの新規分類が有用であり、他癌種でも有用なことを見出した。腫瘍免疫微小環境についても解析し、予後不良なLAG-3群に特徴的な免疫環境を明らかにした。この特徴的な免疫微小環境は、転移巣でも保存されていることを示した。さらに、遺伝子解析の結果LAG-3群に特徴的な遺伝学的背景を示した。新規免疫チェックポイント分子による分類を臨床応用するために必要な病理学的ワークフローを作成し、確認コホートを用いてその有用性を確認した。 本研究成果は免疫チェックポイント分子治療薬時代の腎細胞癌の新たな分類となり、今後の臨床試験における患者選択に有用な可能性があり、将来的には最適な薬剤選択に有用な可能性がある。
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