研究実績の概要 |
本研究は、人工知能の画像認識能力を応用し、術前化学放射線療法(NA-CRT)が施行された直腸癌症例における、事前治療効果予測と、完全奏功症例の予測能力を評価することを目的とした研究である。 我々は今回、帝京大学医学部附属病院において、NA-CRTに引き続き手術治療を行った直腸癌90症例におけるNA-CRT前後の癌を含む内視鏡画像計5255枚を集積し、機械学習 を用いてNA-CRTの効果予測(完全奏功予測、Responder予測)を行った。機械学習は12の方法(LDA,QDA,SVM,cubicSVM, Gaussian SVM, quaderatic SVM, KNN, cubic KNN, cosine KNN, weighted KNN, logistic regression model. decesion tree)を用いて行い、それぞれの予測能を比較した。効果予測能の評価はCross-Validation法を用いて、ROC(receiver operating characteristics)曲線を描き、AUC(areaunder the curve)を算出して行った。 結果、病理学的完全奏功の予測能は、画像ベースの検討では、NA-CRT前画像を用いた場合AUC 0.816(cubic SVM)、精度は84%、NA-CRT後画像を用いた場合AUC 0.839 (quadratic SVM)、精度は83%であり、患者ベースの検討では、NA-CRT前画像を用いた場合AUC 0.904(cubic SVM)、精度97%、NA-CRT後画像を用いた場合AUC 0.958 (quadratic SVM)、精度96%と、良好な結果を示した。また、Responderの予測能は、画像ベースの検討では、NA-CRT前画像を用いた場合AUC 0.792(Gaussian SVM)、精度は73%、NA-CRT後画像を用いた場合AUC 0.841 (Gaussian SVM)、精度は78%であり、患者ベースの検討では、NA-CRT前画像を用いた場合AUC 0.857(Gaussian SVM)、精度80%、NA-CRT後画像を用いた場合AUC 0.950 (Gaussian SVM)、精度89%と、こちらも良好な結果を示した。 本研究の成果は国内の主要学会で発表され、論文投稿中である。
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