研究課題
実臨床にて免疫チェックポイント阻害薬治療を受けた患者を後ろ向きに抽出し、保存組織検体がある症例について検討をおこなった。91名の免疫チェックポイント阻害薬治療を受けた非小細胞肺癌の腫瘍組織検体からCD73の発現を解析し、CD73が腫瘍組織に発現していると、免疫チェックポイント阻害薬治療の無増悪生存が長い傾向が示された。腫瘍細胞中のCD73発現細胞の割合をカウントし、その割合を1%、10%、30%、50%とそれぞれ解析を行ったところ、CD73発現が高いほど免疫チェックポイント阻害薬の治療効果(無増悪生存期間)が長い傾向が示された。その結果を基にCD73の発現が腫瘍細胞の50%以上で認められるものを高発現と定義した。EGFR陽性非小細胞肺癌患者では、CD73高発現群で有意に免疫チェックポイント阻害薬治療による無増悪生存期間、全生存期間が長く、仮説通りに治療効果予測因子であることが示唆された。一方で、EGFR陰性の場合には、CD73の発現と免疫チェックポイント阻害薬の治療効果との関連は認められなかった。CD73の高発現は特にEGFR陽性非小細胞肺癌患者における免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとなりうることが示唆され、EGFR陽性例とEGFR陰性例では腫瘍免疫に関わる分子の違いがある可能性が示された。(Thorac Cancer. 2020 Apr;11(4):950-955. doi: 10.1111/1759-7714.13346. )
2: おおむね順調に進展している
臨床検体の解析で仮説の通りに進捗している。
採取した保存血液検体からの解析を進めていく。
次年度に試薬等を購入予定。
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Thorac Cancer
巻: 11 ページ: 950-955
10.1111/1759-7714.13346.