研究課題/領域番号 |
19K16816
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
山崎 知子 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 特任研究員 (20792493)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん幹細胞 |
研究実績の概要 |
頭頚部癌に対しては、従来からシスプラチンなどの抗癌剤が使用されてきた。しかし、この治療法は特異性が低く、特に固形癌において完全寛解はほぼ期待できない。近年盛んに開発が進んでいる分子標的薬は、主に血液癌や肺腺癌・腎癌・乳癌など一部の癌に適応が限られており、頭頚部癌を含む他癌種においては未だ有望な標的薬がほとんど開発されていない。 最近、癌細胞のなかでも造腫瘍性・治療抵抗性の高い亜集団(癌幹細胞)の同定が進み、それを標的した治療法の開発が盛んに行われている。私たちのグループは、下咽頭癌においてはX陽性細胞が高い増殖能と造腫瘍能を持つことを明らかにしてきた。さらに、独自にヒト化抗X抗体を樹立し、PDX担癌マウスを用いてXを標的とした抗体治療を実施したところ、腫瘍縮小効果を認めた。しかし、縮小効果は完全ではなく、更なる検討が必要だと考えた。本課題では、X標的治療のproof of conceptをさらに蓄積するための検討を進める。 本年度は、昨年度に引き続き、X分子ノックアウトマウスに対して4NQO(4-Nitroquinoline 1-oxide)を飲水させ、舌癌および食道癌を発がんさせ、さらにタモキシフェンにてX分子のノックアウトを誘導して、表現型(腫瘍の大きさ・個数・Ki67陽性率・転移の有無)を解析した。また、NTCU( N-nitroso-tris-chloroethylurea)を背部に塗布し、肺扁平上皮癌を発がんさせ、ノックアウト効率の確認を進めている。マウスの遺伝子背景を変えることによって、肺扁平上皮癌が発がんするようになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進めている
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今後の研究の推進方策 |
申請書に従い、がん幹細胞経路の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス表現型の網羅的遺伝子発現解析を次年度に変更したため、その費用を持ち越した。
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