本研究では、RET遺伝子を対象に、がんゲノム情報をもとに変異体へのスクリーニングにより有望な既存薬剤を選定し、薬剤耐性変異への影響を受けにくいキナーゼ阻害剤のデザインに向けた知見を得ることを目標とする。自施設にて経験した薬剤耐性獲得検体より新たな耐性変異を同定し、報告した。収集した変異リストをもとに変異をタンパク質と細胞モデルに導入し、薬剤感受性情報を取得した。また、精製タンパク質と阻害剤との共結晶構造の取得に成功した。その結晶構造情報をもとに、複数変異を導入し、分子シミュレーションにて結合安定性情報を取得した。実験データと分子シミュレーションから得られる感受性データには相関を確認した。
|