転写因子はゲノムDNAに結合し、遺伝子発現制御に寄与している。転写因子の解析手法であるクロマチン免疫沈降法は、特定の転写因子の解析に有用であるが、特定のゲノム領域を調べることはできない。本研究では、dcas9を用いて部位特異的なゲノム領域を単離する方法を評価した。ウイルスベクター、あるいはリコンビナントdCas9を用いた方法を開発し、転写因子複合体の免疫沈降を試みた。結果として、ゲノムDNAは免疫沈降できたが、タンパク質は質量分析に使用できるほどの量を得ることができなかった。しかし、この目的を達成のためには、架橋剤の選択、架橋の条件設定、試料の破壊手順などの最適化が重要であることが分かった。
|