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2019 年度 実施状況報告書

光線力学療法におけるtalaporfin sodiumの分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16822
研究機関北海道大学

研究代表者

和田 秀之  北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (00789406)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード光線力学的診断 / 5-aminolevulinic acid / 5-ALA / ABCG2遺伝子
研究実績の概要

近年,光感受性物質が癌細胞に集積することを利用して、癌診断および治療を行う光線力学療法が各癌領域で注目されている。癌に特異的に取り込まれる光感受性物質にレーザー光をあて光感受性物質を励起させることで癌細胞を発光させ、癌を視覚的に検出し診断に応用する。さらに励起時、細胞毒性が強い活性酸素が発生し、細胞死を引き起こすことで癌治療を行うことが可能になる。消化器癌治療においては、2015年に化学放射線療法後、局所進行再発食道癌に対する治療としてtalaporfin sodiumを用いた光線力学療法が保険収載となり、再発食道癌の救済治療として期待されている。しかしながら、talaporfin sodiumの細胞動態は未だ不明な部分が多く、この分子メカニズムの解明には至っていないのが現状である。本研究では、gRNAライブラリを用いたCRISPR/cas9システムによる網羅的かつランダムな遺伝子編集技術を利用し、talaporfin sodiumの感受性関連遺伝子を解析することである。これまでtalaporfin sodiumの感受性遺伝子の探索について同方法を用い解析された報告はなく、新規の薬剤感受性関連遺伝子の発見につながり得ると考える。研究方法は、遺伝子編集技術であるCRISPR/cas9システムを用いてtalaporfin sodiumの感受性関連遺伝子の同定を行い、同定遺伝子と薬物動態との関連について解析する。さらに癌細胞に対し、CRISPR/Cas9システムによる遺伝子編集技術を用いて、網羅的かつランダムな遺伝子のノックアウトを行う。ある薬剤感受性関連遺伝子がノックアウトされたと期待し、光線力学療法に耐性となる細胞の検出を試みる。この耐性細胞を単細胞レベルで解析し、ノックアウト遺伝子の同定と同定遺伝子がどのように光線力学療法に関連しているのかの機序を解明する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①CRISPR-Cas9システムを用いたgRNAライブラリ安定発現株の作成により、ランダムな遺伝子ノックアウトを行う。
研究進捗状況:レンチウイルスベクターに組み込まれたピューロマイシン耐性CRISPR gRNAラブラリを標的細胞である食道癌細胞株TE9に導入し、ピューロマイシ耐性の遺伝子(gRNAライブラリ)が導入された細胞株の樹立を完了した。

②gRNAライブラリ安定発現株における、光線力学療法耐性集団を濃縮する。耐性集団におけるtalaporfin sodiumの取り込み低下細胞の検出し、シングルセルソーティングによるgRNAライブラリ安定発現かつ光線力学療法耐性のクローン細胞を樹立する。
研究進捗状況:gRNAライブラリ安定発現株における、光線力学療法耐性集団を濃縮し、耐性集団におけるtalaporfin sodiumの取り込み低下細胞の検出し、シングルセルソーティングによるgRNAライブラリ安定発現かつ光線力学療法耐性のクローン細胞の樹立を確認した。

今後の研究の推進方策

上記背景をもとに、talaporfin sodiumの感受性に関する原因遺伝子の同定、解析を行う。同定された遺伝子について、光線力学療法に関与するメカニズムを解明し治療応用の基盤となる研究を行う。得られた結果をもとに、腫瘍生検時の情報などから治療効果を予測できるような、バイオマーカーの発見を目指し検討をおこなう。具体的には、実際の臨床検体における同定分子の発現量と光線力学療法の効果、再発の有無などとの関連を検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ABCG2 expression is related to low 5-ALA photodynamic diagnosis (PDD) efficacy and cancer stem cell phenotype, and suppression of ABCG2 improves the efficacy of PDD2019

    • 著者名/発表者名
      Kawai Noriko、Hirohashi Yoshihiko、Ebihara Yuma、Saito Takuma、Murai Aiko、Saito Takahiro、Shirosaki Tomohide、Kubo Terufumi、Nakatsugawa Munehide、Kanaseki Takayuki、Tsukahara Tomohide、Shichinohe Toshiaki、Li Liming、Hirano Satoshi、Torigoe Toshihiko
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 14 ページ: e0216503

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0216503

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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