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2020 年度 実施状況報告書

光線力学療法におけるtalaporfin sodiumの分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16822
研究機関北海道大学

研究代表者

和田 秀之  北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (00789406)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード光線力学療法 / Talaporfin sodium / PDT
研究実績の概要

近年,光感受性物質が癌細胞に集積することを利用して、癌診断および治療を行う光線力学療法が各癌領域で注目されている。癌に特異的に取り込まれる光感受性物質にレーザー光をあて光感受性物質を励起させることで癌細胞を発光させ、癌を視覚的に検出し診断に応用する。さらに励起時、細胞毒性が強い活性酸素が発生し、細胞死を引き起こすことで癌治療を行うことが可能になる。本研究の目的は、CRISPR/cas9システムを用いたtalaporfin sodiumの感受性関連遺伝子の同定と、光線力学療法の臨床応用の拡大、治療効果を向上させることである。今回、胃癌・食道癌・大腸癌・膵臓癌・胆道癌の各種消化器癌細胞株(MKN45、TE4、TE9、TE10、SW480、PK1、MiaPaca2、TFK1、HuCCT1)を20μg/mlのTalaporfin sodiumにて処理し、フローサイトメーターを用いてその蛍光強度の検討を行った。いずれの細胞においても、ほぼ100%のTalaporfin sodiumの染色を確認し得た。食道癌細胞株(TE9)において光感受性物質であるTalaporfin sodiumを20μg/mlの濃度で用いて光線力学的療法(PDT)(150mW, 5J)を施行し、PDTを施行していない群と比較して有意に治療抵抗性を示すことが確認された。今後は、TE9細胞株におけるPDT抵抗株とwild typeにおいてCRISPR gRNA libraryを用いたCRISPR-Cas9システムにより、ヒトゲノム遺伝子のランダムなノックアウトを試みる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、レンチウイルスベクターに組み込まれたピューロマイシン耐性CRISPR gRNAラブラリが食道癌細胞株TE9に導入されたことが確認できている。今後、ピューロマイシンの投与により、ピューロマイシ耐性のgRNAライブラリが導入された安定発現株を作成し、PDT耐性クローン細胞樹立を目指す。

今後の研究の推進方策

gRNAライブラリ安定発現株に対し、talaporfin sodium(20μg/ml)の投与とPDT(150mW, 5J)を施行する。すでに本プロトコールで約90%が細胞死を起こし、10%程度の細胞が生細胞として残ることが前実験にて証明されており、これらを再培養・増殖した培養細胞に複数回の光線力学療法を繰り返すことで光線力学療法耐性細胞を濃縮できると考える。この細胞集団からtalaporfin sodiumの取り込みが低下する細胞をフローサイトメーターで検出し、単細胞ソーティングを行い、gRNAライブラリ安定発現かつ、PDT耐性のクローン細胞を樹立する。クローン細胞樹立については前実験は終了しているため、予定通りに進むと考えられる。

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公開日: 2021-12-27  

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