RASは癌治療における最重要標的の一つであるが、従来の低分子医薬品や抗体医薬では創薬が困難な標的(“undruggable target”)と長年考えられてきた。本研究では、RASと生体内で相互作用するタンパク質を基本骨格とする細胞膜透過性タンパク質を51個合成することで、細胞レベルで強い阻害活性を有する新規RAS阻害剤を同定することに成功した。本阻害剤は既存の低分子RAS阻害剤と同程度以上の阻害活性を示しており(Cell Chemical Biology 2021, WO/2022/039026)、有望な創薬シーズと考えることができる。
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