乳がん術後薬物療法を行った患者の意思決定におけるプロセスを明らかにするために、主に患者および医療者からのアンケートを結果を用いて解析を行った。多くの患者においてShared Decision Making による治療方針の意思決定が行われていることを明らかにした。しかしながら、患者の年齢、患者の嗜好、その他患者側の要因、また、主治医による違いなど、医療者側の要因により、そのプロセスは異なることが明らかとなった。特に高齢者においては若年者と比較し、何を重要視するかという点が異なる、また、その他仕事、家庭、生活スタイルなどの個人個人の要素により、その重要度は異なる。しかし、Shared Decision Makingの実施に関してはその需要視する要素に関係なく、均等に実施されていることが明らかとなった。しかし、Shared Decision Makingの実施項目のうち、他の治療法や選択肢があることについての説明が不十分であった可能性が高く、他の治療法や選択肢を提示する必要性があることが示唆された。一方で、Shared Decision Making の実施は診察時間の延長を伴うためShared Decision Makingのさらなる普及のためには、医療者側に対しても患者側に対してもそのプロセスのあり方について理解を深め、限られた医療資源の中で有効に実施していくことが今後必要となる可能性がある。
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