研究課題
若手研究
5-アミノレブリン酸(5-ALA)は生体内に存在する天然のアミノ酸で、その腫瘍特異的な代謝経路と光感受性を利用して既に臨床で広く使用されている。一方で、非アポトーシス性の脂質酸化ストレスによる細胞死であるフェロトーシスが薬剤耐性癌細胞に効果的な治療経路として近年注目されている。本研究では、5-ALAが食道扁平上皮癌に対してフェロトーシスを誘導し抗腫瘍効果を発揮することを証明した。今後、5-ALAによるフェロトーシス誘導を利用したさらなる臨床応用が期待される。
腫瘍学
フェロトーシスは薬剤耐性癌細胞にも効果を示すことから近年急速に研究が進んでおり、様々なフェロトーシスを誘導剤が同定されてきている。しかし、安全性の問題等から依然として実臨床への応用には至っていない。今回我々が着目した5-ALAは、既に実臨床でも広く使用されており、安全性は担保されている。したがって、5-ALAがフェロトーシス経路を介して抗腫瘍効果を発揮することを証明した本研究の成果は、今後フェロトーシスの臨床応用を理論的、現実的かつ安全に進めるために非常に意義のあるものである。