研究課題/領域番号 |
19K16839
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 央祥 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (00724072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸癌 / リキッドバイオプシー / PRDM14 |
研究実績の概要 |
大腸癌の術後再発診断においては、現状では放射線被曝を伴うCT検査などの画像診断が主要な方法であり、今後の研究開発においてリキッドバイオプシーによる早期再発診断手法は重要性が高い。 幹細胞性に関わる遺伝子を制御する転写因子であるPR domain containing protein 14 (PRDM14)は、正常では始原生殖細胞や胚性幹細胞に特異的に発現し、分化した細胞には発現しないと考えられていたが、近年、悪性腫瘍においてPRDM14の異常発現や悪性腫瘍細胞における幹細胞性との関連が報告されている。本研究では大腸癌患者の血液中におけるPRDM14発現を解析し、大腸癌の術後再発診断としてPRDM14を対象としたリキッドバイオプシーの開発を目的とした。 血漿を用いたPRDM14のリキッドバイオプシー開発に向けて、細胞株およびその培養上清を用いての基礎的検討が必要である。大腸癌細胞株におけるPRDM14 mRNA発現をリアルタイムPCRにて解析したところ、Colo205が高発現、HCT116、LoVoが低発現であった。一方、ウエスタンブロッティングによる蛋白レベルの解析では、HCT116が高発現、Colo205とLoVoが低発現であった。 Colo205とLoVoを対象にレンチウイルスベクターを用いてPRDM14遺伝子導入を行い、mRNAおよび蛋白レベルの解析で、過剰発現を確認した。mockと比較して、PRDM14遺伝子導入細胞株の増殖能は、有意差を認めなかったが、抗がん剤に対して耐性を示した。マトリゲルを用いたアッセイでは、PRDM14遺伝子導入細胞株の浸潤能が有意に亢進していた。従って、PRDM14遺伝子は、大腸癌細胞株の悪性形質獲得に寄与していると考えられた。培養上清を用いたPRDM14発現解析や最終的なリキッドバイオプシー開発に向けての重要な研究成果であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血中PRDM14発現解析の手法を確立させるため、培養細胞を用いた予備実験に時間を要し、まだ、確立に至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
大腸癌の術後再発診断としてPRDM14を対象としたリキッドバイオープシーの開発を目指し、研究を推し進めていく。また、各研究項目の連携を強化し、研究全体の遂行、目的の達成に向け邁進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
血中PRDM14発現解析の手法を確立させるための培養細胞を用いた予備実験に時間を要し、関連した研究項目に着手できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画として、研究項目が多岐にわたるため、目的の達成に向け、主に、物品費(試薬消耗品購入)に使用する。
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