研究課題/領域番号 |
19K16846
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
ソバティ ソフィア 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (80774158)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 甲状腺がん |
研究実績の概要 |
本研究では、極めて貴重な同一症例内で分化癌と未分化癌の凍結試料を用いて、全ゲノムシークエンスを含むシークエンス解析を行い、分化癌の未分化転化を規定・予測する遺伝子異常の同定を行うことを研究目的にしている。ところが、甲状腺未分化癌は極端に予後が悪く、世界的に組織試料とくに凍結試料が乏しく、ほとんどの症例は手術にいたらないため、検体の収集は容易ではなく、この研究遂行の過程では改めて認識できた。さらに、この研究の独自性である同一症例内での分化癌と未分化癌とのペア凍結試料を入手するは一層困難であった。 これまで、肉眼的に集積してきた未分化癌と思われた部位から採取した凍結検体小片には、乳頭癌・濾胞癌のような分化癌の成分が混在していることも多く、それを正確に分化癌成分と未分化癌成分として核酸を抽出することが課題だった。この様な問題点を踏まえて、組織病理学的な事項や手法について経験豊富の病理学者と研究助手の支援を得られながら、より確実の組織検体を扱うことができた。同一症例の分化癌成分を有する未分化癌の高分化組織、未分化組織を用いて、全ゲノムシークエンス、エクソーム解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未分化癌自体の検体数は多く集まれてきたが、同一症例内で高分化癌を発症し、その後未分化癌が発症したと思われた異時性症例の凍結検体中にすでに悪性度の低い未分化癌が多く併存していたことや、未分化癌の凍結検体には、乳頭癌・濾胞癌のような分化癌の成分が共存していることが多く、それを正確的に分化癌成分と未分化癌成分として摘出することが極めて難しい課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
今現在、同一症例の分化癌成分を有する未分化癌の高分化組織、未分化組織を用いて、全ゲノムシークエンス、追加検体の未分化癌組織を用いたのエクソーム解析はすべて完了し、解析結果をまとめる段階である。ここからは計画通りに研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析結果をまとめる過程で、独自性である同一症例内における高分化癌転化後の未分化癌とのペア凍結試料を集めつつ、追加試料として解析に加えてより信頼性のある解析結果を出したい。
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