研究課題
若手研究
本研究はがん免疫療法の新たな標的候補としてMFG-E8の可能性を示した。MFG-E8非存在下では、マウスに皮下移植した腫瘍細胞の増殖が抑えられ、さらに既存の免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体の効果を増強した。この抗PD-1抗体治療効果の増強作用は、抗MFG-E8抗体との投与によっても再現できたため、抗MFG-E8抗体は抗PD-1抗体の有効な併用薬の候補になり得る。
がん免疫
がんに対する免疫の抑制を解除する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の臨床開発成功により, がん免疫療法が標準治療体系に組み込まれつつある。一方で臨床現場での知見を基に効果のない症例に対する新たな治療法の開発が基礎研究に求められている。本研究結果は、既存のICIである抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体とは異なる作用機序で免疫抑制を解除しており、これまで効果の得られなかった症例に対して治療効果を得られる可能性を示唆している。