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2019 年度 実施状況報告書

ヒト膵臓がん細胞株の麻疹ウイルス感染制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16862
研究機関京都大学

研究代表者

早稲田 真澄  京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (60794295)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード膵臓がん / 麻疹ウイルス / がん免疫療法 / ウイルス感染性 / Nectin-4
研究実績の概要

本研究は、がん細胞を標的とした抗原特異的T細胞療法において問題となる「抗原発現の不均一性」を解消するために必要となる、多様な膵臓がん細胞に対して持続感染可能な腫瘍溶解性ウイルスベクターの開発を最終目的としている。
昨年度は、多様な膵臓がん細胞株に共通する感染制御機構を見出すために、複数の膵臓がん細胞株をAmerican Type Culture Collection (ATCC)より追加導入して実験に使用した。本研究にて使用する腫瘍溶解性ウイルスである麻疹ウイルスは、細胞接着分子であるNectin-4を介してがん細胞に感染することが報告されている。そのため、これまでに導入した膵臓がん細胞株9株のNectin-4発現をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、Nectin-4陽性株は4株(Capan-2, KLM-1, PK-1, PK-8)、陰性株は5株(AsPC-1, BxPC-3, MIA PaCa2, PANC-1, PK-59)であることが確認できた。
次に、麻疹ウイルス感染実験の際にNectin-4発現量の差がその後の解析に影響する事を防ぐため、Nectin-4強制発現株の樹立を実施した。レトロウイルスベクターを用いて上述した9株にNectin-4遺伝子を導入し、同等の発現量を有する細胞をフローサイトメーターによりソーティングすることにより、上記の目標を達成した。
また、本研究にて開発を目指している麻疹ウイルスベクターは、T細胞との併用療法に用いる計画であるため、T細胞を含む免疫細胞への感染能を欠失させる必要がある。しかし、このウイルスは麻疹ウイルスを増幅するために従来から用いられてきたVero/SLAM細胞では増幅できない。そこで、このウイルスを増幅可能なVero/Nectin-4細胞株を樹立した。
以上が昨年度の研究成果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究計画当初に使用予定であった研究設備が使用できなくなってしまい、当該年度の主たる実験である蛍光タンパク質を発現する麻疹ウイルスを用いた感染実験が実施できなかったため。

今後の研究の推進方策

麻疹ウイルスを用いたNectin-4発現膵臓がん細胞株への感染実験を含め、昨年度に実施できなかった実験を実施し、膵臓がん細胞株のウイルス耐性機構の解明を進める。
昨年度使用できなかった実験設備の代わりとなる設備の導入と整備を進めており、準備が整い次第上述した研究内容を遂行していく。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、既述の通り研究に遅れが生じて消耗品等の購入が計画当初の予想を下回ったためである。
本年度は昨年度に実施できなかった研究内容も併せて実施する。そこで翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する計画である。

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公開日: 2021-01-27  

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