研究課題
癌遺伝子Wilms tumor gene 1(WT1)に対しペプチド特異的CD4T細胞を誘導できるマウスHLA-IAbとヒトの多くのMHC Class2に共有するヘルパーペプチド配列(WT1-35ペプチド)を新たに同定した。WT1-35ペプチド配列を従来より使用しているマウスH2-DbおよびヒトHLA-A 02:01 or 02:06に共有するCTLペプチド(WT1-126ペプチド)を併用したところ、末梢血中のWT1-126ペプチド特異的細胞障害性T細胞(WT1-CTL)を有意に増強・維持した。また、WT1-35ペプチド併用は末梢血中に誘導されるWT1-CTLの腫瘍内への遊走・浸潤を有意に高めることをマウス皮下腫瘍モデルを用いて示し、論文報告を行った(Cancer Immunology & Immunotherapy 2021 Nov;70(11):3323-3335)。さらにWT1-126ペプチド、WT1-35ペプチド併用療法を行ったマウス皮下腫瘍よりWT1-CTLをsingle cell sortし、PHAを用いて増殖させRace-PCR法よりそのTCR配列(1B10-TCR)を同定した。次に1B10-TCRを組み込むウイルスベクターを作成し、マウスCD8+T細胞に発現導入したところ、この1B10-TCR発現CD8+T細胞はWT1-126ペプチド特異的に細胞障害活性を示した。一方、WT1-126&WT1-35ペプチド併用ワクチンでは単回投与に比し、継続的に2週ごとに投与することでWT1-CTL誘導が増強されたため、ワクチン接種部位皮膚に長期効果を抑制するメカニズムが示唆された。ワクチン接種部位皮膚の抗原X陽性抗原Y陰性のCD11b陽性細胞をCD8+T細胞を刺激実験系にco-cultureしたところCD8+T細胞の増殖が抑制され、この単球系細胞が抑制の主座と考えた。
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Cancer Immunology, Immunotherapy
巻: 70 ページ: 3323~3335
10.1007/s00262-021-03003-5