研究課題/領域番号 |
19K16887
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
福嶋 誠 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70836452)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳機能ネットワーク / 脳ダイナミクス / 時変ネットワーク / 安静時脳活動 / 脳活動シミュレーション |
研究実績の概要 |
今年度は,安静時ヒト脳機能ネットワークの分離・統合状態間スイッチングの生成メカニズムを明らかにすることを目的として,分離・統合状態間スイッチングの生成に寄与する脳構造結合の要素を探索することに取り組んだ.本研究では,脳構造結合を介して結合させた非線形振動子モデルから巨視的な神経活動の振動位相をシミュレートし,得られた振動活動時系列をBalloon-Windkesselモデルを用いてシミュレーション安静時fMRIデータに変換した.そして,実際の脳構造結合と,そのネットワーク的性質に操作を加えて得たサロゲート脳構造結合のそれぞれ用いてシミュレーション安静時fMRIデータを生成し,分離・統合状態間変動の大きさを両者の間で比較することを通じて,脳構造結合のどのような要素が分離・統合状態間スイッチングの生成に効いているのかを調べた.なお分離・統合状態間変動の大きさの定量化には,脳機能ネットワークのparticipation係数の全ノード平均およびモジュラリティの時間変動を用いた.分離・統合状態間変動の大きさの比較の結果,これらの状態間変動の形成には脳構造結合の大域的な空間的配置とネットワークトポロジーが重要であることが示された.また.以上の脳構造結合の大域的な性質のみならず,視覚ネットワークに含まれる脳領野(主に視覚野)とリンクしている局所的な脳構造結合が,状態間変動の形成に重要な役割を果たすことも示された.本研究により,安静時ヒト脳機能ネットワークにおける分離・統合状態間スイッチングの生成に寄与している脳構造結合の要素が明らかにされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分離・統合状態間スイッチングの生成に寄与する要素の探索を,当初予定していた通りに実行できたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,分離・統合状態間スイッチングの背後にある脳活動の時空間パターンを特徴づけることに重点的に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の年度中の研究機関異動により次年度使用額が生じた.当該助成金は,翌年度分として請求した助成金でカバーできなかった物品費・その他の費目の充実のために使用することを計画している.
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