研究課題/領域番号 |
19K16889
|
研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
伊藤 文人 高知工科大学, フューチャー・デザイン研究所, 講師 (00722307)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 社会的相互作用 / 他者 / 印象 / fMRI |
研究実績の概要 |
人は他者との相互作用において、他者の顔から知的さや温かみなど、その人物の内面に関わるさまざまな情報を読み取っていることが明らかにされている。本研究では、他者の顔を見ている際の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(functional MRI:fMRI)を用いて取得し、他者と実際に会話をした際の印象を、その人物の顔を事前に見ている際の脳活動から予測できるか検討した。本研究の参加者は、fMRI課題中に様々な人物の顔写真を1枚ずつ呈示された。それぞれの顔写真の呈示時間は2秒であった。参加者がそれぞれの顔写真をきちんと見ていることを確認するため、顔が呈示されたらできるだけ早くボタンを押すように教示された。なお、参加者は顔が呈示された人物と後日直接会話することを予め教示された。fMRI撮像後、別室にてそれぞれの顔を改めて呈示され、印象判断を行った。後日実施した会話課題において、fMRI参加者は事前に実施されたfMRI課題において顔が呈示された人物と実際に会話を行い、会話終了後にそれぞれの会話相手に対する印象判断を行った。行動データの解析の結果、顔を見ている際の印象判断が有意に会話課題後の印象判断を予測することが明らかとなった。一方、脳活動データの解析の結果、それぞれの会話相手の顔写真を呈示されている際の内側前頭前野における脳活動は会話課題後の印象判断を有意に予測することはなかった。脳活動に関する知見は先行研究と必ずしも一致しないものであったため、今後は行動データと脳活動データの追加解析や、実験パラダイムの改良、再現実験も行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳活動の結果については当初の仮説に反するものであったが、行動データについては仮説通りの結果が得られた。データ取得は行うことが出来ており、進捗状況は概ね良好であると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で用いているBrain-as-Predictor Approachを用いた研究は世界的にもそれほど多くなく、今回の結果が再現されるかどうかを検討することが必要であると考えている。現在得られている行動データおよび脳活動データの追加解析に加え、実験パラダイムや脳活動の取得方法等についての検証、再現実験も行って行く予定である。現在複数の参加者を一斉に集めてのデータ取得が困難な状況であるため、オンライン実験などを含めて実施可能な実験を模索していく。
|