研究課題
令和2年度は、他者の顔に対する印象の情報を処理する際の脳活動情報および顔に対する印象の評定値が、実際にその顔の人物と会話をした際に抱く印象を予測するか、機能的脳機能画像法(fMRI)と参加者同士が実際に対面し会話を行う課題を用いて検討した論文を発表した(Ito et al., 2020, Human Brain Mapping)。本研究では、fMRI課題時に得られた脳活動データおよび、その直後の評定課題により得られた顔に対する印象評定のデータが、顔が呈示された人物と後日実際に会話をした際の印象評定を予測するか検討を行った。その結果、fMRI直後の評定課題における各々の顔に対する評定値は会話課題における印象を有意に予測する一方、fMRI課題時に得られた各々の顔に対する脳活動の情報は会話課題における印象を予測しない結果となった。先行研究では事前に取得した脳情報が後の他者への印象を予測するとの知見が得られているが、本研究結果はこうした知見と必ずしも一貫しないものであった。本研究で得られたnegative resultは、実験に際してのパラダイムの違いによるものである可能性が考えられ、脳情報がどれほどの予測力、信頼性をもつかについて、今後さらなる検討が必要であると考えられる。本年度は他にも、脳領域間の機能的結合に着目した解析や、課題中の反応時間をモデリングする手法を用いて、顔に対する印象形成の認知・神経メカニズムについて多面的な検討を行った。その結果、印象形成において腹内側前頭前野の役割が重要であることが明らかとなった。
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American Journal of Occupational Therapy (in press)
巻: ー ページ: ー
Human Brain Mapping
巻: 42 ページ: 1328 - 1342
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