研究実績の概要 |
本研究では、ニューラルオシレーションの非正弦性に着目し、非正弦性特徴による解析結果への影響や機能的意義について、様々な検証を行った。第1に、非正弦性が持つ解析への影響として、phase-amplitude coupling(PAC)という現象に着目した。様々なシミレーションデータや実際のデータで検証を行った結果、オシレーションの非正弦性がPACの定量化に重大な影響を与えうることを確認した。また既存のPAC定量化方法では、この影響がより甚大に出ることも明らかになった為、こういった問題を回避及び軽減出来るPACの定量化方法を独自に考案した(Ohki, 2022)。この手法により、非正弦性による影響を回避しつつ、より詳細なPAC特徴を定量化出来る事が明らかになった。第2に、PACにみられる非正弦的な特徴が、思春期において強くみられることを明らかにした(Ohki et al., 2020)。第3に、PACにみられる非正弦性はパーキンソン病などの一部の病態特有的にみられることを確認した(Ohki et al., under preparation)。またパーキンソン病の治療効果は、パーキンソン病のオシレーションの非正弦性が緩和されることに反映されることを明らかにした。尚、本研究課題で得られた知見に関しては、海外の共同研究者らと共に国際学会におけるシンポジウムで報告を行った。このシンポジウムの開催にあたっては、筆者は議長としての役割を果たした。以上、本研究における研究実績としては、海外雑誌論文上での掲載が4本(その内、筆頭著者論文が2本、共著が2本)である。
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