研究実績の概要 |
昨年度も含め自閉スペクトラム症の患者47人(男児36人、女児11人、年齢(中央値) 14.3歳)から協力を得て、検体収集・臨床表現型の評価を行った。末梢血白血球から抽出したmRNAを用いてRT-PCRにより、CB1受容体,CB2受容,FAAH(fatty acid amide hydrolase),MAGL(monoacylgrycerol pipase)のmRNAの発現量の測定を行った。臨床表現型の評価としてAQ (Autism-Spectrum Quotient)児童版を用いて自閉症傾向, 下位尺度の評価、SRS (Social Responsiveness Scale) -2を用いて社会的コミュニケーションと対人相互反応交流, 興味の限局と反復行動, 下位尺度の評価、ADHD-Rating Scaleを用いて多動衝動性, 不注意の評価を行った。 AQ児童用の総得点(中央値)は29.5、SRS-2の合計のT得点(中央値)は80であった。AQ児童用の総得点とそれぞれのmRNAの発現量との統計学的に有意な相関は認めなかったが、CB1受容体のmRNAの発現量と下位尺度である“注意の切り替え”(rs=-0.372, p=0.03)、CB2受容体のmRNAの発現量と“注意の切り替え” (rs=-0.329, p=0.05)および“想像力”(rs=-0.529, p=0.01)に統計学的有意に相関を認めた。一方で、それぞれのmRNAの発現量とSRS-2の各スコア、DHD-RSの各スコアに関しては統計学的に有意な相関は認めなかった。
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