研究課題/領域番号 |
19K16910
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高 紀信 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (00622557)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遺伝性痙性対麻痺 |
研究実績の概要 |
遺伝性痙性対麻痺(HSP)は緩徐進行性の下肢の筋力低下と痙性を主徴とする神経変性疾患群の総称である。HSPは多様性のある疾患群であり、病態機序も多岐にわたり、解明されていない部分も多い。本研究ではHSPの病態機序解明のために疾患の原因遺伝子の探索を進めている。本研究では多数例の患者群及び正常対照群の遺伝子解析結果を比較することから候補遺伝子の抽出を進め、さらに培養細胞を用いた機能解析を行うことを計画している。特にESCRT関連遺伝子がHSPにどのように関与するかに注目し研究を進めている。2019年度はHSP症例および正常対照例の遺伝子解析結果からESCRTに関連する遺伝子変異について検討を進めた。一般集団において頻度の低いものを候補遺伝子において検討したところ728の候補変異を抽出した。さらに手元のデータと照らし合わせ頻度の低いものを検討したところ166の変異候補を抽出した。この変異候補のうちin silicoでの解析結果や遺伝子変異やSNPのデータベースとの比較から候補遺伝子を抽出した。対象遺伝子変異を有する家系の臨床症状の収集及び変異の確認を行った。今後さらに候補遺伝子の絞り込みを行い、病態機序の解明に寄与する原因遺伝子の同定を進める。 また解析を進める中でHSPの原因遺伝子と報告されているものや、そのほかの神経変性疾患の原因遺伝子と報告されている稀な症例を複数抽出した。これらの家系の臨床症状を収集し、HSPの疾患スペクトラムの拡大に寄与する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子解析を行った症例から候補遺伝子の抽出を進めている。症例数が多いために多数のSNVを抽出している。またデータベースにはまだ登録などがないものの、日本人に多いと考えられるSNVが多数抽出されており、絞り込みが完了していない。現在までの解析結果から候補遺伝子変異も抽出しているため、他の候補と現在までに抽出している候補のそれぞれの解析を進めていく。 また同時にHSPや他の遺伝性神経変性疾患の原因遺伝子も抽出しており、疾患に及ぼす影響なども検討できている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに解析をした症例から候補遺伝子の絞り込みと、すでに抽出済みの候補遺伝子の病態機序への関与を検討していく。 症例数に関しても解析が終わった症例を随時追加していく。 候補遺伝子に関して病態への関与が強く示唆されるものに関しては培養細胞を用いて細胞内動態について検討を進める。
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