研究課題
遺伝性痙性対麻痺(HSP)は緩徐進行性の下肢の筋力低下と痙性を主徴とする神経変性疾患群の総称である。HSPは多様性のある疾患群であり、病態機序も多岐にわたり、解明されていない部分も多い。本研究ではHSP病態機序解明のために疾患の原因遺伝子の探索を進めている。本研究では多数例の患者群及び正常対照群の遺伝子解析結果を比較することから候補遺伝子の抽出を進め、さらに培養細胞を用いた機能解析を行うことを計画している。特にESCRT関連遺伝子がHSPにどのように関与するかに注目し研究を進めている。2019年度に抽出した候補遺伝子について疾患の原因足りうるかを家系解析や症例を横断的に検討したところ、疾患の原因ではないとの結論に至った。原因ではないとの結論に至った理由としては、(1)遺伝子解析の結果がエラーであった、(2)頻度が低いもののSNPであった。現在は他の抽出した遺伝子とそれを持つ家系についてさらに検討を進めている。2020年にはESCRTのVps4-Vta1タンパク質複合体を形成している遺伝子VPS4Aが痙性を伴うCIDMAG症候群の原因遺伝子として報告されたが、我々の既解析症例にはなかった。一方でスクリーニングの中で、稀なHSPとしてALDH18A1によるSPG9やそのほかの稀なHSPの原因遺伝子を複数抽出した。これらの抽出したHSPの原因遺伝子の一部に関して家系調査、病態機序の検討、文献的考察を行い、報告を行った。また未報告のものにおいては現在家系調査、病態機序の検討、文献的考察を進めている。
4: 遅れている
当初想定していたよりも抽出された変異数が少なく、病原性を証明できる変異の抽出に想定よりも難渋している。一方で、頻度が低いために報告が稀なHSPの既知の遺伝子における新規遺伝子変異などは抽出されており、HSPに及ぼす影響などについては検討できている。
予定している候補遺伝子の絞り込みを進めていく。抽出した稀な遺伝子に関してはHSPへの病態関与について検討を進める。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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