研究課題
遺伝性痙性対麻痺(HSP)は緩徐進行性の下肢の筋力低下と痙性を主徴とする神経変性疾患群の総称である。HSPは多様性のある疾患群であり、病態機序も多岐にわたり、解明されていない部分も多い。本研究ではHSP病態機序解明のために疾患の原因遺伝子の探索を進めている。本研究では多数例の患者群及び正常対照群の遺伝子解析結果を比較することから候補遺伝子の抽出を進め、さらに培養細胞を用いた機能解析を行うことを計画している。特にESCRT関連遺伝子がHSPにどのように関与するかに注目し研究を進めている。これまでの解析症例においてはESCRT関連遺伝子による新規の変異の同定には至っていない。一方でESCRTとは関連はないものの海外で報告された新規の原因遺伝子についても検討したところ我々の症例にも含まれていた。また他の遺伝性疾患の原因遺伝子によってHSPの症状を呈する家系を認めた。稀なものとしてはLYST遺伝子変異が挙げられる。LYST遺伝子は小児の先天性免疫不全症のChediak-Higashi症候群の原因遺伝子である。我々は4家系を見出し、これらの家系について家系調査、病態機序の検討、文献的考察を行い、報告を行った。海外から報告のあったものについては3家系含まれていることを確認している。現在この未報告の家系について家系調査、臨床情報の収集、病態機序の検討、文献的考察を進めている。今後情報をまとめる予定である。
4: 遅れている
想定していた頻度よりも変異が少なく、抽出に難渋している。また新型コロナウイルス感染症への対応により研究に従事する時間が想定よりも取れなかった。
追加で収集した症例について変異を検討していく。また解析で同定された遺伝子変異を有する家系の臨床情報等も検討していく。
研究のスケジュールが遅れてしまったため、2022年度に延長して行っているため。研究報告及び追加実験に使用する。
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Journal of Human Genetics
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