研究課題/領域番号 |
19K16919
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
井上 泰輝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (00806408)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳アミロイド血管症 / アミロイドーシス / Aβ / アルツハイマー病 / 脳出血 |
研究実績の概要 |
α-エノラーゼのマウス脳内持続投与の終了後にY-迷路試験を用いた認知機能評価を実施したところ、α-エノラーゼ投与マウスにおいて有意に認知機能改善効果を認めた。病理学的評価では脳血管、脳実質へのAβの沈着がα-エノラーゼ投与マウスにおいて減少した。さらにMALDI-TOF/ MS を用いた検討で、Aβ40モノマーを示すピーク波形がα-エノラーゼを添加しない状態では検出されたが、α-エノラーゼを添加した群においては、そのピーク波形が 消失していた。α-エノラーゼに、阻害剤Aを添加すると、α-エノラーゼのAβ線維形成抑制作用が阻害されることを示した。α-エノラーゼの病態改善効果はAβ線維形成抑制作用に起因すると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α-エノラーゼのマウス脳内持続投与の終了後にY-迷路試験を用いた認知機能評価を実施したところ、α-エノラーゼ投与マウスにおいて一定の病態改善効果が示された。その背景にあるメカニズムとして、Aβ線維形成抑制作用に起因する可能性が示された。次年度ではそのメカニズムを応用した研究を展開させる。まずドラッグスクリーニングは、当初の予定では初年度下半期に実施する予定であったが、次年度にライブラリーを用いたスクリーニングを開始し、CAA治療候補薬を同定する。バイオマーカーとしての有用性では、ELISAを用いた血中、髄液中のα-エノラーゼ濃度測定を次年度に行う。
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今後の研究の推進方策 |
α-エノラーゼのマウス脳内持続投与研究は、今後、検討数を増やし再現性を検証する。α-エノラーゼの阻害作用効果の検証は、阻害剤A以外の種々のプロテアーゼインヒビターを用いて、Aβ線維形成抑制の背景にあるメカニズムを検証する。平行して、ドラッグスクリーニングによるCAA治療候補薬を3-5種類同定しモデルマウスへ投与する。バイオマーカーとしての有用性の検証については、申請者の所属施設において測定可能な検体が一定数集まったことから、次年度にELISA法を用いて測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度において、CAAの病態メカニズムに関して初年度の研究を発展させる研究に使用する必要が生じたため。
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