パーキンソン病(PD)および多系統萎縮症(MSA)は臨床的には異なる症状を示す疾患であるが、ともにαシヌクレイン(AS)を原因タンパク質としている。ASは本来可溶性であるが、βシート構造を持つ異常構造凝集体が鋳型(シード)として働くことで正常型ASの構造変換を引き起こして線維化が加速する特性をもつ。多彩な組織でASシードが検出されているが、血液中にもASシードが存在しているかは不明である。IP/RT-QuIC法により血液中AS seedの検出に成功し、有用なバイオマーカになることを示した。増幅したAS凝集体はPDとMSAで異なる構造や伝播能を保持しており、両者の鑑別にも有用である。
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