炎症性腸疾患は腹痛が慢性的に持続するが、腹痛をコントロールする薬は開発されていない。大建中湯は、腹が冷えて痛み腹部膨満感のあるもの、に適応される漢方薬で、本研究から、好酸球に作用し、炎症性腸疾患に伴う腹痛に対しても有効であることを明らかにした。一方で、既存治療薬であるメサラジンは、好酸球に作用するが腹痛に対する鎮痛効果はないことが明らかとなった。TRPC5及びTRPV3受容体は、物理的・化学的刺激に対するセンサーであり、炎症で増加する酸化ストレス物質によって活性化されることが知られている。本研究から、TRPC5及びTRPV3受容体が炎症性腸疾患に伴う腹痛の発症に関与することが示唆された。
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