超高齢社会を迎えた我が国ではCKDやサルコペニアの増加が問題となっている。両者はしばしば合併し「筋腎連関」という共通のメカニズムの存在が示唆されるものの、その機序はこれまで不明であった。我々はこれまで新規遺伝子であるR3hdmlの研究を行い、その過程でR3hdmlは分泌タンパクであること、さらにR3hdmlを過剰発現すると糖尿病性腎症の進展抑制の可能性や筋障害の回復が早まることを見出している。以上より我々は、R3hdmlに対する研究を通して「筋腎連関」の病態メカニズムを解明し、R3hdmlによるCKD/サルコペニアの新たな治療戦略を確立することを本研究の目的とした。 具体的には3年間において以下の2つを研究の中心として活動を行った。 ① R3hdmlを用いたCKD/サルコペニアを対象とした新規バイオマーカーの開発 ② R3hdmlによるCKD/サルコペニアの進展抑制に繋がる新たな治療法の確立 3年目において、我々は①の開発を目指して、糖尿病・サルコペニア肥満マウスモデルの検体を使用したメタボローム解析を実施した。また並行してRNAシークエンスを提出し、結果について現在各種シグナル解析を実施した。結果についてはいくつか興味深い知見が得られており、この結果については近く学会および論文にて報告を実施する予定である。 また②については特にCKD/糖尿病性腎症とR3hdmlの機能解析を中心とした研究を実施した。これまでの野生型およびR3hdmlノックアウトマウスを用いた糖尿病モデルマウスでの検討において、我々はR3hdmlを欠損すると糖尿病性腎症が悪化する結果を見出していたが、今回はさらにアデノウィルスを用いたR3hdml過剰発現モデルを開発し、糖尿病モデルマウスに投与を行った。その結果、R3hdmlは糖尿病性腎症/CKDに対する保護効果があることを証明さら、その結果を持って論文報告を行った。
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