我々は骨格筋に選択性の高い発現(心筋では発現しない)を誘導するMLC1f遺伝子の制御下にCre蛋白を発現するMLC1f-Creマウスと、IRS遺伝子領域をloxP配列 で挟んだfloxマウスを3系統(IRS-1 floxマウス、IRS-2 floxマウス、IRS-1/2ダブルfloxマウス)を準備し、これらを交配することにより得られた骨格筋特異的 IRS-1欠損(MIRS1KO)マウス、骨格筋特異的IRS-2欠損(MIRS2KO)マウス、骨格筋特異的IRS-1/2ダブル欠損(MIRS1/2DKO)マウスの解析を行った。 当初はMIRS1/2DKOマウスに運動負荷を与えて運動耐容能などの検討を行う方針としていたが、十分に実験に用いる実験動物が繁殖できなかったため、実験内容の見直しを行うこととした。MIRS1/2DKOマウスは昨年度の報告書でも報告した通り、体重減少・骨格筋量低下を呈することから、単なるトレッドミルによる運動では体格に起因する運動耐容能変化なのかインスリンシグナル障害に基づく運動耐容能変化なのかの判別が困難であると考えて、まずは運動時に発現量が上昇するIRS-2に着目し、MIRS2KOマウスの解析を先行して行った。 その結果、運動前後でMIRS2KOマウスはコントロールマウスと比較して血糖値、血中脂質に差を認めなかった。また、運動前後および運動中の呼吸代謝測定を行ったところ、運動後のみで呼吸商の上昇を認めた。
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