研究課題/領域番号 |
19K16944
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安本 篤史 北海道大学, 大学病院, 助教 (90769887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血小板凝集塊 / フローサイトメトリー / HIT抗体 / マイクロパーティクル |
研究実績の概要 |
研究計画は4つで構成されている。(1) 最適なサンプル調整方法の確立、(2) 健常人の血液サンプルでの血小板凝集塊の測定系を確立、(3) 患者検体での有用性を示す、(4)HIT抗体による血小板活性化の検出アッセイの確立。 (1) 健康成人を対象としてクエン酸血を採取し、採血管内で血小板凝集剤(ADP、コラーゲン、TRAP-6、U46619)で刺激をして血小板凝集塊を作成した(審査番号11049-(6))。光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、フローサイトメーター、Optofluidic time-stretch顕微鏡(Jiang Y, et al. Lab on a Chip 2017)にて評価した。赤血球処理は、全血、赤血球溶血、赤血球分離(密度勾配)とで比較した。全血や溶血に比べて密度勾配法で感度良く血小板凝集塊が検出された。固定しないと経時的に血小板凝集塊は減少することが観察され、採血後1時間以内に固定を行う必要があった。また固定後は2日程度は血小板凝集塊が減少しないことを確認した。 (2) そのサンプルをCD61陽性でゲーティングした細胞集団をCD62PとPAC-1の両方で陽性の範囲が血小板凝集塊である。また血小板凝集塊には白血球を含むもの(白血球-血小板凝集塊)も多く、CD61とCD45とで評価することも重要である。ここまで研究について2020年5月にeLIfe誌にアクセプトされた(Zhou Y, Yasumoto A, et al. eLIfe. 2020; 9: e52938)。 (3) 患者の残余検体を用いて、血小板凝集塊の検出系の検討(審査番号11344-(3))したが残余検体ではサンプル条件が悪く、前向き研究で検討中。 (4) 2020年度はさらにHIT抗体による血小板活性化をマイクロパーティクルを測定することで評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はこれまで3つの構成(1)-(3)で行ってきた。2020年度は研究者が東京大学から北海道大学に異動したことにより、実験系を一から作り直す必要が生じた。(1)-(3)の研究については東京大学にて引き続き継続されて成果が得られたため、北海道大学では同じテーマで別のアプローチにて研究を開始し、(4)HIT抗体による血小板活性化の検出アッセイの確立を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は4つで構成されている。(1) 最適なサンプル調整方法の確立、(2) 健常人の血液サンプルでの血小板凝集塊の測定系を確立、(3) 患者検体での有用性を示す、(4)HIT抗体による血小板活性化の検出アッセイの確立。 (1)-(2)については論文化された(Zhou Y, Yasumoto A, et al. eLIfe. 2020; 9: e52938)。 (3)は東京大学にて継続研究され、前向き研究として進められ次年度には結果が得られる予定である。 (4)は研究設備が整ったため、研究の倫理申請が通過次第、HITモノクローナル抗体による刺激系および患者検体を用いてマイクロパーティクルの測定系の確立を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の異動に伴い、異動先の北海道大学にて研究設備が整っていないため、試薬の購入や実験計画の修正、研究のための倫理申請の提出のために1年近く要した。そのため、2020年度は試薬購入や実験設備費に研究費を使用し、次年度は残した研究費を研究協力者への謝金および論文作成費、旅費に当てることにした。 次年度は謝金350,000円、論文作成費100,000円、旅費50,000円を計上している。
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