新型コロナ感染症のため、患者唾液の集積・解析を行うことができない状態となってしまいました。唾液の評価は新型コロナ感染症の感染拡大予防のため、老人施設での唾液回収が難しく、研究が進められませんでした。このため、肺炎患者情報の収集を行い、検討を行いました。現在までに、予定施設のうち、2施設での2014年~2018年度の肺炎新規入院症例1800例を集積しました。市中肺炎・医療介護関連肺炎それぞれ解析を行いました。肺炎患者における、ADL低下リスク、死亡リスクについて、リハビリの介入により低下させることができることを層別化リスク解析で示すことができました。現在までに解析が終了しているのは、NHCAP症例は836例(肺炎入院患者の65.8%)で、年齢85.2±8.7歳でした。 理学療法(PT)・作業療法(OT)の介入の有無で、初回肺炎死亡率は有意に異なり、年齢・性別・入院前ADL・併存症・重症度分類による傾向スコアマッチング後の PT/OT介入群・非介入群での比較では、初回肺炎死亡率は介入群で1.6%、非介入群で18.4%と有意に差が認められました。(p<0.01、N=185例ずつ)。 リハビリ介入までの期間でADL低下リスクがどのようにかわるか、死亡リスクがどのように変わるか、さらに解析を進めます。また、再入院リスクについても現在解析中です。どのような症例で、3か月以内・6か月以内の再入院となるか、そのリスクの解析を行います。肺炎入院後の予後について、入院中死亡だけではなく、退院後、生存していた期間を確認し、長期予後についても解析します。 研究期間は終了したものの、解析を続け、関連学会での発表、論文投稿を予定しています。
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