研究課題/領域番号 |
19K16947
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松本 淳 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 技術補佐員 (90467209)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 鍼治療 / 血流 / 上腸間膜動脈 / 集中治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は集中治療中の重症患者において鍼治療による上腸間膜動脈を指標とした腹部内臓血流の変化の検討を行い、重症患者の消化器症状等の腹部症状に対する鍼治療の効果の機序の一端を解明することにある。 令和2年度の取り組みとしては、集中治療中の重症患者において上腸間膜動脈の血行動態の超音波カラードップラー法による評価が可能かどうかを確認し、あわせて集中治療患者の重症度や重症患者に併発しやすい心機能低下などの要因と上腸間膜動脈の血流量の関連を調べる基礎調査を行った。さらに、超音波カラードップラー法により測定した上腸間膜動脈の血流量に関して、繰り返し測定したデーターから級内相関係数を算出し、検者内信頼性の検討を行った。その結果、集中治療中の重症患者の上腸間膜動脈の血流量の平均値は、これまでのいくつかの報告で示されている健常人の値より低い値であった。APACHEIIスコアを指標とした患者の重症度と上腸間膜動脈の血流量に統計学的な相関は認めなかった。上腸間膜動脈の血流量に関するICCは0.9以上と高い値を示し、検者内信頼性は高いと考えられた。 次に、集中治療患者の上腸間膜動脈の血行動態に対する鍼治療の効果を調査する観察研究について、倫理委員会審査手続きを終えて症例登録を開始した。超音波測定担当者の異動のため新たに超音波測定を委託した検査者において、上腸間膜動脈の血行動態の超音波測定の習熟に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による大学病院集中治療室の入院状況の変化や面会制限の変化のため対象患者の選定や対象患者家族から同意書を取得する機会の設定が困難であったこと、上腸間膜動脈の血行動態の超音波カラードップラー法による測定困難例がみられたこと、超音波検査を委託した研究協力者の異動等の理由によりデーター収集の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
集中治療室入室中に鍼治療を受ける患者の鍼治療前後の上腸間膜動脈の血行動態の変化を観察することで鍼治療の短期効果を検討する。上腸間膜動脈の血行動態の観察は腹部超音波カラードップラー法により行い、血流量、抵抗指数、拍動指数, 収縮期最大速度、拡張末期血流速度を算出する。同時に、脈拍、動脈血酸素飽和度、血圧、心拍変動係数の変化も観察する。APACHEスコアによる集中治療患者の重症度と鍼治療による上腸間膜動脈の血行動態の変化の関連の検討を行う。 心拍変動係数で評価される自律神経系の変化と鍼治療による上腸間膜動脈の血行動態の変化の関連の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗に遅れが生じているため、統計解析ソフトの購入や謝金の支払いに至らず、次年度使用額が生じた。次年度に統計解析ソフトの購入や検査者への謝金の支払いを予定している。
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