集中治療下の重症患者の予後改善の重要な因子である消化管機能維持のためには消化管の血液灌流の維持が重要である。これまでに、基礎研究では鍼治療による消化管関連の血流増加反応が示されており、健常人において鍼治療による上腸間膜動脈の血流増加を示した報告があるが、集中治療患者の鍼治療による消化管関連の血行動態の変化については明らかではなかった。本研究は、集中治療患者の鍼治療による上腸間膜動脈の血流量の増加反応を示した。本研究は、集中治療患者における鍼治療の効果の機序の一端を示すとともに、将来、集中治療患者の腹部内臓血流の維持を目的とした治療のひとつとして鍼治療が有用となる可能性があることを示した。
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